神話の法則でみる千と千尋の神隠し

人は無意識の中にある「パターン」を持っています。

 

そのパターンというのは、物語、ストーリーのパターンです。

 

そのパターンに沿って作られた例えばマンガや映画というのは、

多くの人に受け入れられやすく、

語弊を怖れずに言えば、ヒット作品になりやすいのです。

 

そういった人間のもつ神話というストーリーパターンを

研究して作られたのが「神話の法則」です。

 

神話の法則で語られるストーリーパターンを簡単に

説明すると、

 

日常の世界(オーディナリー・ワールド)

新世界(スペシャル・ワールド)

日常の世界(オーディナリー・ワールド)

 

という風に主人公が冒険するストーリーです。

 

もうちょっと噛み砕くと、

 

日常の世界にいた主人公があるきっかけを得て、

 

新世界へと旅立ち、

 

そこでいろんな試練や困難を乗り越えたり、

 

人との出会いだったりを通じて成長し、

 

最後の試練を乗り越え宝を手に入れ元いた世界に帰る。

 

という流れです。

 

まあこれは概要の説明のためにざっくり説明しただけで、

細かく見ればもっといろんなプロセスや物語の要素があります。

 

さて、なんとなく神話の法則の全体像は掴んでもらえたかなと思います。

 

今日は今お渡しした「神話の法則フィルター」を使って、

ある映画について見ていこうと思います。

 

その映画というのは「千と千尋の神隠し」です。

 

かなり有名な作品なので、

これを読んでくれているあなたが観たことある前提で

話しますね。笑

 

千と千尋の神隠しを神話の法則に当てはめてみると、

 

人間の世界(オーディナリー・ワールド)にいた千尋が、

 

神の世界(スペシャル・ワールド)に迷い込み、

 

人との出会いや困難や試練を乗り越える経験を通して成長し、

 

最後の試練を乗り越え「ある宝」を手に入れて、

 

人間の世界に帰って行く、

 

というストーリーになっています。

 

 

この「ある宝」というのがとても興味深いところなんですが、

結論から言ってしまいましょう。

 

その宝とは「母親からの自立」です。

 

千と千尋の神隠しには、

姉妹の魔法使い「ゆばーば」と「ゼニーバ」が登場します。

 

実はこの二人は母親の2つの側面を表しています。

 

それが、

子どもを包み込む「陽」の側面と

子どもを抑圧し支配する「陰」の側面です。

 

千尋に対して冷酷で支配的なゆばーばは陰。

千尋に対して温かく優しいゼニーバは陽です。

 

千尋はこの二人から母親の陰と陽の2つの側面を

学んだことで成長し、

最後の試練(ここでは豚になった両親を言い当てること)

をクリアして元いた人間の世界に帰っていくのです。

 

 

ここで一つ付け加えると、

一見ゆばーばは千尋にとって悪い存在に見えるのですが、

必ずしもそうではないということです。

 

なぜなら、陰の存在であるゆばーばがいなかったら、

千尋は成長していなかったからです。

 

人の成長には陰と陽どっちも必要なんですね。

 

どっちかだけだと真の意味で成長することはできないんです。

 

この考え方がとても大事で、

人はある出来事に対してプラスとマイナスのレッテルを

貼ってしまいます。

 

「これは自分にとっていい出来事」

「こっちは自分にとって悪かったマイナスの出来事」

という風に。

 

たしかにそのときに見たら嫌な出来事はマイナスに感じるかもしれませんが、

その経験を通して成長することで、

人生全体で見るとその出来事がプラスだったと言えるのです。

 

 

と言った感じで今日は時間が来たので、

ここまでにします。

 

ありがとうございました!